糖質制限で病気・老化・イライラ予防
人類の歴史は約700万年です。そして99%は狩猟・採集時代で、日常に糖質の多い穀物を食べる習慣はありませんでした。
狩猟や採集で得た動物や魚介類、昆虫、野草や木の実、果物などが主な食べ物でした。栄養のほとんどを脂質やタンパク質から摂ってきました。
人類の食生活は、糖質制限の歴史の方が遥かに長かったのです。
穀物が登場したのはわずか1万年ほど前で、日本人が稲作を始めたのも確実には2500年ほど前の弥生時代といわれています。
現代の食生活は、糖質が全体の59%を占め生活習慣病の原因となっています。
一例ですが、グリーンランドに住み、牛肉、生魚が主食だった民族イヌイットが20世紀中ごろから穀物を食べるようになり、さまざまな病気が増えました。
「ご飯を食べないと動けない」「主食をしっかり食べることが大切」といった思い込みは捨てましょう。
糖質制限することで、メタボが解消されるだけでなく、美容や予防医療にも効果を発揮します。
糖質の摂りすぎで、もっとも注意すべきは、糖尿病を引き起こすリスクです。
糖尿病はさまざまな合併症をもたらし、ときには失明や死亡などの可能性もあります。
糖質を摂りすぎると、食後の血糖値が非常に上がりやすくなります。
膵臓からインスリンが分泌されて血糖値は下がりますが、余ったカロリーは脂肪として体に蓄積され肥満に繋がります。太るとインスリンの効きが悪くなるので、膵臓はたくさん分泌しなければなりません。
それが繰り返されると膵臓が疲れてインスリンの分泌量が減り、糖尿病になるリスクが高まります。
太らないためには、インスリンの大量分泌を抑える、すなわち血糖値の急上昇をさせないことが大切です。
とくに、“ご飯から食べる・どか食い・早食い”は血糖値を上昇させるので控えましょう。
高血糖になる最大の原因は肥満と加齢です。加齢は止めることができないので、肥満の解消が一番重要になります。
内臓脂肪が増えて、過剰なインスリン分泌がされると、すい臓を疲弊させるだけでなく、交感神経を刺激して血圧を上昇させることがあります。
糖尿病と高血圧は相互に関係性があり、糖尿病患者の40〜60%は高血圧だともいわれています。
その結果、脳卒中や心臓病などのリスクが増大することとなります。
内臓脂肪の増加は、糖尿病や心疾患のリスクだけでなく、がんのリスクも高めることもわかっています。
次にあげる10種類のがんは、腹囲の増加=内臓脂肪の増加に伴い、発症リスクが増大しており、特に大腸がんでは顕著なリスク上昇が確認されています。
・大腸がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆のうがん
・すい臓がん、子宮がん、卵巣がん、腎臓がん、乳がん
糖質の多い食事は、じつは老化を招く原因にもなります。
糖質をとりすぎると、余ったブドウ糖が体内のタンパク質と結びつく「糖化」いう現象が起こり、悪玉物質のAGE(終末糖化産物)が生成されます。
すると、身体機能が低下し、老化が進行。その度合いはこれまでの老化の主な原因とされてきた「酸化」よりも深刻なことが、最新の研究でわかっています。
糖質の過剰摂取でAGEが増えると、シミ・シワができたり、肌のハリが失われます。
糖質オフの実践は、AGEの発生・増加を防いで若々しさを保つためにも有効です。
糖質制限を行っていて、イライラするなどのストレス症状が出る人がいます。
その場合、炭水化物(糖質)依存症になっている可能性が考えられます。
人は、食後、血糖値が上がると多幸感を感じます。脳が一度、その快感を覚えると満足感を得ようとしてどんどん糖質を摂取していくという悪循環に陥ってしまいます。
この場合は、いきなり糖質を減らすのはイライラの原因になるので、まず軽めの糖質制限から始め、時間をかけて糖質を減らし、体を慣らしていけばよいでしょう。
糖質依存症やイライラから抜け出すためにも、糖質制限は有効です。